ファミマ桜田店
完成しないプロジェクトとは
普通、家を建てるときに施工業者とは「家一軒」の値段で交渉します
施工業者側は、完成までの工期の見積もりをたてて値段を決めます
もし、ここで施工業者と「一日いくら」で契約したらその家は建ちません
業者側には早く完成させるメリットがどこにもないからです
施工業者は色々と理由を付けては工期を遅らせ、「一日分の日当」を
少しでも多く貰おうとするでしょう
現実には、施工業者と下請けの現場作業員の関係は「1日いくら」です
そのため業者は監督員を送り込んで作業員を効率よく作業させようとします
作業員側が仕事の効率を上げることはあり得ない(メリットが無い)ので
効率化の為の努力は業者側が全て行わなければなりません
家を建てた場合の成功報酬が決まっているので、完成までの工期が遅れれば
作業員に支払う日当が増え、施工業者としては出費が増えることになります
早く完成させるメリットがあるので、頑張って工期を守ろうとするのです
世界一有名な未完成建築物
すでに135年もの間ずっと建築中の建物があります
1883年に建築が始まり、完成予定は2026年とされています
この建物、なぜ完成しないのかと言えばスペイン人が怠惰なのではなく
早く完成させることが誰のメリットにもならないからです
作業する側だけでなく、 監督する側や設計する側の人間を含めて
全員が「給料で雇われている」立場で、成功報酬の人はいません
建築が完成してしまえば、契約は完了となり収入が無くなるだけです
工期が遅れれば遅れるほど、自分の仕事は楽になり、働いた期間の分は
しっかりと給料が貰える。この条件で効率化をする人は居ませんね
成果物に対する報酬
完成させたことによって生じる報酬が無いと、効率化は生まれません
「何かを創る作業」において、それが月給であれ日当であれ時給であれ
時間当たりの契約で仕事をさせることは本来ふさわしくないのです
サグラダ=ファミリアの例でいえば、工区を分割した上で、〇〇の塔の
完成を1社に請け負わせ、成功報酬として一定金額を払うようにすれば
その業者はその予算内に応じて工期を決め、ちゃんと完成させるでしょう
それは普通の事なのに
普通の商店では商品に値段が付けられています。林檎1個がいくらで
珈琲豆100gはいくらです。それらを生産する時間は考慮されません
だから生産者は生産効率を上げる努力をするわけです
サラリーマンのように、作業時間=給料という雇用関係であれば
むしろ作業効率は下げた方が(残業が増えて)収入が増えます
働き方をいくら改革したところで、給与形態が同じであれば
根本的な解決にはならないのは明らかです
なぜこんな話に
先日、親がスペイン旅行から帰ってきたからですね
バルセロナのサグラダ=ファミリアの話を聞かされて
「サグラダファミリアはなぜ完成しないのか」を
自分なりに考察してみました